2013年10月29日火曜日

前向きと不屈の意味すなわち

今夏、七月の終わりに東京で個展をした。たくさん人が来てくれた。感謝。
そしてその折、一人のプレーヤーが訪ねてきてくだすった。

その方のことについては、去年の記事にあげた。
医師にしてラガーマン、「東京ドクターズ」モリカワ氏である。
ハマモトと同世代の、理系・お医者さんとは思われぬガタイの人だ。
http://krfcob-haman.blogspot.jp/2012/08/1.html

東京のラグビー者、ヒラノ女史と入った新橋の立ち飲み屋で、偶然
となりに居合わせたという馴れ初めなのだが、一年後、わざわざ
お越しくだすったのだ。物腰の優しい丁寧な方である。

以下、ギャラリ-での会話。
H:ハマモト、M:モリカワ氏。

H 「いやー、お久しぶりです。ありがとうございます。」
M 「どうもどうも、調子はいかがですか。」
H 「(去年ハマモトはアキレス腱絶賛断裂中であった)ああ、なんとか
  走れるようになって、幸運にも復帰できました。」
M 「そうですか。僕の方は五月に顎を骨折しちゃって。」
H 「ああ!そうなんですか。」
M 「最近やっと装具も取れたんですが、二ヶ月ほど流動食でした。」
H 「ああ~・・・。」

五月に顎を折って二ヶ月流動食だったということは、この話の時点で
七月に入るまで顎は固定され、まともに飯も食えなかったということ
ではないか。てことは、つい最近まで入院しておられたのだな。
自分は、二の句がつなげなかった。
確かに画廊の入り口に立たれたとき、あれ?なんか細くなられたかな。
と感じたのだが、なるほど。
そうかーアゴかー。さすがに今後は難しいのかなあ。
頭の隅でそう考えていた。が!モリカワ氏の次の台詞。

M 「ギブスが取れて動けるようになったんで、そろそろ筋トレも始めようと・・・。」
H 「おおおそうですかあ!!」

叫んじまったねオレは。自分の声がわんわんと画廊に響いたさ。
モリカワ氏、ハナから復帰する気まんまんなのである。
自分は、背筋がくわーっと熱くなった。あの感じはなんだろうね。とにかく
声が出ちまったのだ。
心より敬意をこめて書く。ここにもラグビー馬鹿がいた。
顔の輪郭が変わるような怪我をしながら、治るか治らんかのうちに
もうラグビーをやるつもりでいるのである。三十路も半ばを過ぎ、
花も散りおおせた我々ではないか。

M 「もうねえ、ほんまになんでなんでしょうねえ、中毒ですよねえ、たはは・・・。」
H 「たはは、まったく・・・・。」

お互い猫背になって、後ろ頭をかきながら「たはは」と笑ったもんだ。
この風景、決してかっこよくなんかない。ええトシこいたおっさん二人が
情けなさそうに自分のアホ加減に苦笑している図なんて。
そう、みなさんは「はん」とひとこと、鼻で笑ってくれていい。
ただ。


2013年10月1日火曜日

歌だよ歌。

思わずユーチューブで、テストマッチの国歌斉唱動画を見てしまう。
特にラグビー世界杯。

以前にも同じような話を書いたが。
あれはね、いいよ。
見ているこっちが酔ってしまう。
試合前の選手たちのアップを順繰りに見せてくれるわけだが、
彼らの感情の高ぶり、なんつーかこの、
「この試合で死にます、ええ死んで見せましょうとも。」
という気合がひしひしと感じられていい。
たぶんこの気合なら、にらむだけでスプーンを曲げてしまうだろうほどに。
選手たちも感極まって泣いているのだが、観客さえも国歌の前奏で
すでに号泣しているものさえある。

なかんずく、アルゼンチンとポルトガルが好きだ。あとアイルランド。
英語発音なら「アルジェンティーナ」「ポーチョギース」「アイレアン」
と聞こえるが、この音もいい。
一体にここら辺の国歌は、徐々に高まるエネルギーを爆発させる
ような旋律であるので、いかにも戦いを前にして歌うに似つかわしい。
いわゆる強豪国の大舞台に慣れた感じのものでなく、第三のチームが
自らを鼓舞していくさまが大変感動的なのだ。
そして、みながみな歌がへたくそなのだ。まあえらい調子がはずれとる。
もう絶叫。

2007年のフランス世界杯では、アルゼンチンの大活躍が印象的だった。
しかし、自分はその影で、予選全敗退ながら存在感を示した初出場の
ポルトガル代表の見せてくれた姿勢がすんげー好きだ。

ポルトガル代表「Os Lobos (オス・ロボス)」。群狼、という意味だそうだ。
その荒削りな語感がまた彼らに合っているように思う。
予選プール落ちでけちょんけちょんだったのだが、同じプールでの
王国NZ代表戦。
あんなテンションで国歌を歌う人たちなんか自分は初めて見た。
そして、そのあとのNZのハカを前に、彼らは「嬉しそう」だったのである。
「うわ、これからおれオールブラックスと戦えるんだぜ!!」
という顔だった。
点差はついた。しかしすげーいい試合だった。
試合後もオス・ロボスの選手たちは笑顔だった。楽しげだった。

思うに、ストレートに高まりを表現する方法としての国歌は、団体競技
にとってたいへんいいと思う。やっぱり感動する。ナショナリズム
とかは抜きにして。少なくとも、選手たちは誇りを持って歌っている。
オス・ロボスは見事にそれを示してくれたのだ。

で、思うんだが、ジャパンも何かそういった歌を作ってはどうか。
試合用歌ね。
どうもこの、「君が代」は高まりに欠けるように思うのです。言葉も
戦いを志向したものでないし聞けばそもそも、日の丸も君が代も
なし崩しで日本を表すものとして使われてきたが、実は正式に
「それ!」と決められた背景があやふやなのだとか。

だったら、それ用の旗と歌、作っちゃえばよくね?と軽々しくも思う。
どんなやつがええねんと問われると困るんだが、なんかええやつ。
ただ、多分そんなことをするとなったらこの国の偉い人はまたもや、
旗のデザインはハイパーメディアなんたらの人に頼んだり、歌は
加山雄三や谷川俊太郎あたりの人にやってもらったりと、とっても
コミカルなことをしてくれると思われるので、ある意味わくわくする。

しかし、アイルランドには現に国歌の他、「そういう歌」もあり、実際
テストマッチで歌われたりするので、ありだと考えるのだが、どうかね。

歴史的背景?そんなものはこれから積み重ねて行ったらいいものだし、
いまこそ「混迷の時代に生まれた応援歌」になるのでないか?
あ、でもそれ、長渕剛がもうやってるのか。ヨーソロー進路はひがあしへ~!!