2011年9月16日金曜日

Mиша and Eagles  

Mиша 、ミーシャ。ロシア語で「クマ」の愛称。
もう、ロシアではミーシャと来たらクマ、てなもんらしい。正式には Mедведь 
(メドヴィエチ)という。
そのロシアだが、今回世界杯初出場で最初の相手がアメリカ・イーグルスとは。
この対戦カード、因縁というか、IRBの確信犯というか、お互い意識しまくりであったろう
ことは明白だ。

アメリカは、素朴なラグビーをしはる。ロシアはそれに輪をかけて素朴だった。
しかし、これは近いうちに強くなるだろうなと感じさせるものがあった。
ロシア首脳陣のコメントでは、この初戦、対アメリカのためだけに調整してきたのだという。
まあ意地と意地のぶつかり合いであったが、ロシアの力がおよばなかった。
アメリカも必死だったのだろう、ノーサイドの笛の瞬間、両膝を落とし泣き出した選手がいた。
そして呆然としたロシア選手たちの顔。それが非常に印象的だった。
勝った負けたというよりも、張り詰めた緊張が一気に切れて感情が噴出したと言った所か。

試合中、後半最後でもう負けが確定している場合でも、、不思議なもので負ける気がしない。
勝っていても、それこそ、「気が気でない」。
ノーサイドになるまで気持ちが落ちず、走ることができるが、笛が鳴った瞬間、がくっと
なる。頭でわかっているはずなのに、終わりの瞬間まで実感として勝敗が迫って来ない
のだ。
で、喜んだ側とうつむいた側に分かれたと。

このゲーム、勝敗の分かれ目は世界杯の舞台での「慣れ」の差程度かな、という位
のもんであった。
花のある試合ではなかったが、ラグビーって不思議なスポーツやなあと感じた試合で
あったことよ。

でもロシア、あれはつよなるで。

2011年9月14日水曜日

王国の系譜

世界杯開幕戦、トンガ VS NZ。 いや、楽しかった。
毎回のこととはいえ、ウォークライの応酬には震える。そしてやはり、
トンガの選手は泣いていた。
 
いわゆる「ラグビー王国」NZというが、トンガも真の意味での王国である。
面白いのは、かの国トンガは多重国籍の取得が可能なのだそうな。
ラグビーで言うなら、プロ選手として「出稼ぎ」が多く、なおかつ。出先で
有利に立ち働くため、その国の国籍をとったほうが良い場合もある。しかし
そうなると、代表選手として試合に出場できなくなってしまうので、それを
避けるための措置でもあるらしい。
 
それは、「外国人枠」のある日本においてわかりやすい。
試合中にプレーできる外国人は、そのチームで同時に3人まで、とあるが、
日本国籍をとれば、そのしばりがなくなる。またその国の代表選手になる
ためには、日本なら3年以上チームに所属し、プレーしなければならない
という制限もなくなるわけで、いろいろやりやすいのだろう。
おそらく日本代表FW、ホラニ・龍・コリニアシ選手も日本に帰化しながら
トンガ人であり続けられるのだ。
自分は、ビジネスとしての考え方でないところで、この決まりが好きだ。
それはまるで、「どこでどう過ごそうと、お前はトンガ人であり、魂は
常にこの南の海にあるのだ。」と言われているようでいい。
 
いつの日か帰る場所はそこに。
なんてなやさしさのある国なら、そこに生まれたものとして誇りが持てそうだ。
ところで、日本対フランス戦に感動した。おそらく、今までで一番強い
日本代表になっているのでなかろか。試合後のインタビューでも、
キャプテンのテンションの違いは一目瞭然、あの試合は「勝っていた」と
思う。次はスコアで勝つのみだ。ALLEZ JAPON!!
いつの日か日本も「王国」と呼ばれる日のために。
その萌芽を、確かに見た。

2011年9月9日金曜日

前に歩くために

たとえば、そういうことだ。
自分の国歌を、涙にむせびながら歌い上げる姿。
顔がくっつきそうになるほどのメンチの切り合い。
そこにみる緊張感。
数々のプレー。

どんなスポーツでも大差はないのだろうが、生身をぶつけ合い、わが体を
削り取るラグビーというものにおいてとりわけ、感情のほとばしりは観ていて
小気味良い。
なんつーか、パトス。

世界杯が始まるのである。
上に書いたとおり、「緊張感」である。とくにわれわれにとって見れば、それを
味わう機会はどんどん減っていく。
その味を思いださせてくれる試合の数々は、やはり面白くてたまらない。
強豪国のすごさは言うまでもなく、ランキングの低い国が特に好きだ。
「ラグビーやってて良かったです!」
という彼らの声が聞こえるようである。
前回世界杯のポルトガルがまさにそうだった。
なんて楽しそうに走るものだと感動した。そしてとことん気持ちの良い負けっぷり
だった。
相手はNZ・オールブラックスである。

ポルトガル選手たちの、血管も切れよとばかりの国歌斉唱が印象的だった。
すごく前向きな力をもらったような気がして、そして、あーラグビーやっててよかったわ
俺。と思ったもんである。
そして、あんな気分が味わえるんなら、どっかの国の代表になれへんかななどと、
またもトチ狂った妄想を抱いてしまったのだ。

さあ、今回はどんな感動を与えてくれるのか、楽しみだ。
スカパーで全48試合を放送するということなので、全部見る所存である。

ところで、もし。もしこのままラグビーとトレーニングをやり続けていたら、コケの一念で
シニア世界杯位には出られるかも知れんな、なんて実は本気で考えていたりする。
いや、許したまえ。わかっているのだ、アホにターボがかかっとることは。
とりあえずIRBに頼んで作ってもらわんといかんな、シニア大会。